プロローグ:K2 Recon Link to heading

社会人になって間もない頃、当時よく一緒にルスツで滑っていた本当にスキーが大好きなスキーヤーは、バンの後ろに何台ものスキーを積み、現地に到着してからその時の状況に合わせて時には板を履き替えながらスキーを楽しむという、当時の私からするとなんとも贅沢に見えるスキー生活を送っていた。まあ今の私からみてもとても贅沢に見える。

そんな中、私のようにスキーをかついでバスに乗って山に行くしかないような人が一台持つなら、と勧められたのがこれだった。初めて自分のお金で買ったスキーである。

当時にしてはだいぶ足元が太かったり、当時にしてはロッカーだったりという話を聞いた。ぱっと見サイドカーブがあんまりないようにも見えるけど、板がちょうどよい柔軟さでたわんでくれてカービングが快適だった。一方、コブもパウダーも滑りやすい、オールマイティーなスキーだった。

そしてアメリカに引っ越して六シーズン目の今季、ブーツを買い替えた時に「最近のブーツはGripWalkだからこのスキーはもう履けないよ」と言われ、突然の別れを迎えることになった。寂しさはさておき、そういえば最近は車でスキーに行っているし、何台か積んで山に出かけられる。いろんな板に乗ってみたいという気持ちもずっと前からあった。ということでいくつか新しい板を買ってみることにした。

これはそんな新しい出会いの記録。

Stoeckli Stormrider 95 Link to heading

ブーツを買ったお店で「もうReconは乗れないよ」と言われた時にとりあえずReconの後継となるオールラウンドな板が欲しいという話をしたら勧められたのがこれだった。Nordica Enforcerかこれのどちらかという話をされたが、Enforcerはよく見るし見た目がパッとしないのでStormriderにした。

一般スキーヤーのオールラウンドが95??太すぎるだろ、というのが最初の感想。しかしデフォルトの幅がどんどん太くなっていっているのはなんとなく聞いていたしスキー場でも感じていたので、そんなもんかねえ、と思ってそのまま購入。

シーズン序盤とりあえずこれでしばらく滑ってみたけど、やっぱり太い。勧めてくれた人が言っていた通り、確かに「どこでもいけるしカービングもできる」のだが、カービングのこの、なんだろう、のっぺり感。普段使いでは決してなく、まあ、稀にやってくる深雪用かな、となった。

しかしシーズン中盤以降に価値を再発見することになる。あののっぺり感とは、いわば板の鈍さであった。カービングをしたくなるようなコンディションでは斜面からの反応を機敏に足に伝えてくれる板が嬉しいけど、荒れた斜面ではこの鈍さがありがたい。春先の足元が荒れた状態や、さらに気まぐれな低温でそれが硬くなってしまったような斜面では大変助かる。あとはもちろん、私のラインアップの中ではパウダー枠。100級のは出番少なすぎて買う気にならないので…。

Fischer RC ONE 82 GT Link to heading

Stormriderに代わる、私にあったオールラウンドな板を探す旅に出た。用途が尖った系は競技っぽい流れで憧れがあったりで選べやすいが、オールラウンドは特徴がわかりにくくて難しい。やっぱりここも、応援しているYouTuberのデブおばさんが大体これでどこでも…と言っているRC ONEにした。ネットで最新モデルを中古で買った。

いい感じ。しかしカービング側にだいぶ寄っているなーという気がする。板がしっかり硬い。雪面に叩きつけると金属みたいな音がする。カービングは大変頼もしい。逆にコブは少しやりづらい。Reconのどこでも感は優秀だったんだなあと思う。まあ単に慣れの問題かもしれん。

Fischer RC4 The Curv GT Link to heading

カービング枠。同じく中古をネットで。二年前モデル。RC ONEと同時に発注したけど、まあ一般スキーヤーとして楽しくカービングしたいという目的に限ってはRC ONEがあれば問題なかったと思う。

競技っぽいカービングをも視野に入れかねないカービング用のスキーってどんなん?と思って購入。同じシリーズで競技者用っぽいモデルもあって惹かれたけど、自信がなかったので控えめにこちらにした。RC ONEよりさらに硬い。これは良いことだった。乗っているだけだとターンできている気がしなくて、しっかり足で働きかけてシャープにターンを描きたい気にさせてくれる。

しかし、もーしかしたら来季は出番がないかもしれない。今季アルペンの指導者にコンタクトを取ることに成功し、うまくいけば来季から継続的に教えてもらえそうなので、そうなるともっと競技用の板を調達することになりそう。その指導者と生徒たちはみんなStoeckliを使ってるようなのでStoeckliになりそう。

ID One MR-G Link to heading

モーグル枠。中古で見つけられなかったので新品で買った。

モーグル用の板、憧れだった。そして買うならやっぱり日本が誇るID One!いったいモーグル用の板というのは何が違ってどんな感じなんだというのはずっとミステリーだったのだが、とにかく軽くて細い。

しかしこれがですね、問題児でして…、これを履いたおかげで滑りやすいという斜面がまだ一つもない。コブも含めて。細くて軽くて足元がどこを滑っていても油断できない。まあ本当の問題児はコブの滑り方がわかっていない私。5月にモーグルキャンプに行ってみることにしたので、何かしら基礎的なものを習得したい。